脳と運動

脳と筋肉の意外な関係~マイオカインについて~
- 認知症予防のためにはサルコペニア(加齢や疾患により筋肉量が減少して、筋力の低下、身体機能の低下をきたすこと)の 予防が重要
- 楽しんでできる運動を選ぶ
- 無理をしすぎない
幼少期の運動が青年期の心と脳を育てる
子どものころ、外で思い切り遊んだ記憶はありますか?
お友だちと鬼ごっこをしたり、自転車でどこまでも走ったり…。
その時間が楽しい思い出として残っている方も多いのではないでしょうか。
実は、そんな幼少期の運動の経験が、単なる懐かしい思い出にとどまらず、
大人になったときの心の健康や脳の働きに深く関係している
という研究が発表されました。
最近、
『なぜか集中力が続かない』
『ストレスに押しつぶされそう』
と感じることはありませんか?
また、ご自身のお子さんが
『最近元気がない』
『勉強に意欲が持てない』
といった悩みを抱えているなら、
運動がその鍵を握っているかもしれません。
今回お伝えするのは、幼少期からの運動習慣が、将来の認知機能や精神的な健康に与える影響について。
ぜひご自身や大切な方々の生活に役立てていただけたらと思います。
平均運動能力が高いほど認知機能が高いことが判明
フィンランドのUniversity of JyväskyläのEero A Haapala氏らは、
児童の身体活動と栄養研究(PANIC Study)のデータを解析。
幼少期からの良好な運動機能が青年期の良好な認知機能
および精神的健康に関連することを明らかにした と
Sports Med(2024年9月10日オンライン版)で発表しました。
具体的には、フィンランドの子どもを8年間追跡したPANIC studyのデータを解析し、小児期の運動機能の変化と青年期の認知機能および精神的健康との関連を検討しています。
対象:2007~2009年に小学校に入学した241例(女児 112名)
心肺機能、運動能力、筋力をベースライン時(6~9歳)、2年後、8年後に測定
調査開始2年後に精神運動機能、注意、視覚記憶、学習をCog Stateバッテリーを用いて検査。
8年後に非言語的推論スキルをRaven’s Standard Progressive Matricesを用いて評価
調査開始8年後に知覚ストレス尺度(Cohen’s Perceived Stree Scaleで評価)とうつ病の尺度(Beck’sDepression Inventory)
➡年齢、性別、親の教育令を調整して解析
➡運動能力が高いほど全般的認知スコアが有意に高く
知覚ストレスや抑うつ症状とは逆相関
https://medical-tribune.co.jp/news/articles/?blogid=7&entryid=564939
この研究結果を聞いて、
『自分や家族にも当てはまるかも…』と思われた方もいるかもしれませんね。
たとえば、子どものころからスポーツに親しんでいた方は、
仕事や日常生活でも集中力や粘り強さを発揮する場面が多いと感じることはありませんか?
いっぽうで、
『あまり運動が得意じゃなかった』
『最近は運動不足気味だ』
と感じている方も、安心してください。
どのタイミングからでも運動習慣を取り入れることで、
少しずつ良い変化を感じることができます。
また、ご自身だけでなく、お子さんの生活についても考えてみてください。
最近、スマホやゲームに時間を取られて、
外遊びの時間が減っていると感じることはありませんか?
その状況を少し見直し、一緒に身体を動かす時間を作ることで、
お子さんの成長をサポートしながら、ご自身もリフレッシュできる
一石二鳥の効果が期待できます。
さらに、
『年齢を重ねたら運動の効果が薄れるのでは?』
と感じている方もいるかもしれません。
でも実は、どんな年代でも身体を動かすことは脳や心に良い影響を与えます。
特に中高年の方にとっては、
認知症の予防やストレス軽減に繋がるという研究も数多くあります。
この記事をきっかけに、ご自身やご家族の日常に少し運動を取り入れるヒントを見つけてみませんか?