熱中症の応急処置
木ノ本景子 2024年7月8日 限定記事
夏が訪れるたびに「熱中症」の危険性が取り沙汰されます。
多くの人は、炎天下での活動を思い浮かべるかもしれませんが、実は屋内でも熱中症は発症するのです。
実際、2020年の6月から9月にかけて「熱中症」で救急搬送された人のうち、なんと4割以上が屋内で発症しています(総務省)。
これは、救急搬送された人の半数以上が高齢者であることも関係しているかもしれません。
というのも、蒸し暑い室内で服を着こんで過ごしているという高齢の方も珍しくないのです。
しかし、ここで注目すべきは、残りの半数近くは若年層であるということ。
つまり、どの年代にとっても「熱中症」は決して他人事ではありません。
毎年、熱中症によって命を落とす方がいます。
確かにその多くは高齢者ですが、中には若年層も含まれています。
そして、意外と知られていないのが、熱中症による後遺症の問題です。
熱中症によってダメージを受けやすい臓器ってどこだと思いますか?
- 脳
- 消化管(胃・腸)
- 筋肉
この3つの臓器が「熱中症」によってダメージを受けやすいといわれています。
想像していただいてわかるように、「脳」はいったんダメージを受けてしまうとなかなか回復するのが難しい臓器です。
では、なぜ「脳」にダメージが生じるのかというと、
一番の問題は熱中症によって生じる「脱水」です。
脱水症により、脳血流が減少し、さらに異常高体温が加わると、
脳に障害をきたします。
その結果として、高次機能障害(記憶力低下や判断力低下)や麻痺、嚥下機能障害、歩行機能障害などの後遺症が残ることがあります。
このような重度な障害にまではならなくても、
倦怠感やめまい、頭痛などが長期間(数週間から半年、数年など)続くこともありますので、熱中症対策を行うことは重要です。
それでも、熱中症になってしまったら、
脱水、及び高体温による脳、神経へのダメージをいかに食い止めるか、
時間との戦いになってきます。
環境庁が出している熱中症応急処置のフローがありますので、
こちらを参考にしてください。