医療過疎なのに元気な高齢者が多い?京丹後の調査でわかったフレイルを防ぐ秘訣

年齢とともに心身の活力が低下する「フレイル」。
以前の記事(健康と要介護の中間地点「フレイル」とは?基礎知識から今日からできる3つの予防習慣まで)では、
その基礎知識や予防法について解説しました。
今回は一歩踏み込んで、
「そもそも、なぜフレイルになってしまうのか?」という疑問に、
ある長寿地域の興味深い調査データから迫ってみたいと思います。
医療過疎なのに百寿者が全国の3倍?
「京丹後地域」の謎
京都府の最北部に位置する「京丹後地域」(京丹後市、宮津市、与謝野町、伊根町)。
実はこの地域、京都府内で最も高齢化が進んでおり(高齢化率約38%)、
いわゆる「医療過疎地域」としても知られています。
しかし驚くべきことに、この地域は
10万人当たりの百寿者(100歳以上の方)の割合が全国平均の約3倍もいる「長寿の町」なのです。
「病院が少ないのに、なぜ元気なお年寄りがこれほど多いのか?」
——このパラドックス(逆説)は非常に興味深く、
長寿の秘訣を探るためのさまざまな研究が行われています。
今回ご紹介するのは、
この地域に住む65歳以上の786人を対象に行われた大規模なコホート研究です。
対象者の腸内細菌叢(腸内フローラ)のデータや、
フレイル指標、食・栄養調査などを解析し、
「何がフレイルに関連しているのか」が詳細に調べられました。
調査で判明!フレイルを招く「4つの要因」
調査の結果、フレイルには「年齢」「腹囲」「BMI」といった基本データに加え、
日々の生活習慣が深く関わっていることがわかりました。
これまでの研究報告と総合すると、
フレイルを引き起こす原因は大きく以下の「4つの因子」に分けられます。
| 因子 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 代謝因子 | 肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、がんの既往歴など |
| 運動因子 | 日常的な身体活動量の低下 |
| 睡眠因子 | 睡眠の質、睡眠時間の不足、概日リズム(体内時計)の乱れ |
| 環境因子 | 食と栄養、ポリファーマシー(多剤併用)、都市化、環境化学物質など |
今回の調査では「腸内細菌叢」のデータも取得されていますが、
近年の最新研究では
「腸内環境の悪化(腸内細菌の多様性の低下)がフレイルを進行させる」
ことも分かってきています。
また、京丹後地域の長寿の背景には、
運動量や豊かな食に加え、「地域のコミュニティや人との繋がり」が強いことも、
心の健康や活力を保つ良い要因になっていると考えられます。
要注意!薬の飲みすぎ「ポリファーマシー」の落とし穴
上記の4つの因子の中で、
特にシニア世代の方(そしてそのご家族)に気をつけていただきたいのが、
環境因子に含まれる「ポリファーマシー」です。
ポリファーマシーとは、単に飲んでいる薬の数が多いことではなく、
「多種類の薬を飲むことによって、かえって健康上の別の問題が生じやすくなっている状態」を指します。
一般的に、6剤以上の薬を飲んでいると、
ふらつき、転倒、物忘れなどの「有害事象」が起こるリスクが高まると言われています。
年齢を重ねて複数の病院に通うようになると、いつの間にか薬の数が増えてしまいがちです。
「薬が多すぎるかも」と思っても、絶対に自己判断で薬を減らしたり、飲むのをやめたりしないでください。
まずは「お薬手帳」を1冊にまとめ、
かかりつけ医や薬局の薬剤師に
「薬が重複していないか」「少し整理できないか」と相談してみましょう。
まとめ:日々の生活習慣が最大の予防策
フレイルは、単なる加齢だけでなく、
日々の生活習慣の積み重ね(代謝、運動、睡眠、環境)によって引き起こされます。
京丹後地域にお住まいの元気なご高齢者が教えてくれるのは、
「医療に頼り切るのではなく、日々の生活そのものが健康をつくる」
というシンプルな事実かもしれません。
まずはご自身の生活を振り返り、
食事や睡眠、そしてお薬の状況など、できるところから見直してみませんか?
今日からできる具体的な予防アクションについては、
ぜひ健康と要介護の中間地点「フレイル」とは?基礎知識から今日からできる3つの予防習慣までもあわせてご覧ください。

