健康と要介護の中間地点「フレイル」とは?基礎知識から今日からできる3つの予防習慣まで 

「最近、横断歩道を青信号の間に渡りきれなくなった気がする」
「わけもなく疲れた感じがして、外出がおっくうになった」

日常の中で、そんなちょっとした変化を感じることはありませんか?

「ただの年のせいかな」
と片付けてしまいがちですが、
実はこれらは「フレイル」という状態のサインかもしれません。

今回は、健康寿命を延ばすためにぜひ知っておきたい
「フレイル」の基礎知識と、
今日から始められる予防習慣について分かりやすくお伝えします。

 

1. フレイルとは?

フレイルとは、
病気ではないけれど、年齢とともに筋力や心身の活力が低下し、
介護が必要になりやすい「健康」と「要介護」の間の虚弱な状態のことです。

フレイルには「可逆性(かぎゃくせい)」という大きな特徴があります。

つまり、一度フレイルになったからといって諦める必要はなく、
自分の状態と向き合い、
早めに予防や対策に取り組むことで、
その進行を緩やかにし、健康に過ごせていた状態に戻すことができるのです。

 

2. フレイル、ロコモ、サルコペニアの違いと関係性

フレイルと似た言葉に
「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」や「サルコペニア」があります。

これらはそれぞれ別のものというより、
「どこに問題が起きているか」という規模(スケール)で整理すると分かりやすくなります。

 

  • サルコペニア(パーツの衰え)
    加齢に伴って「筋肉量」が減少し、筋力が低下することです。
    25〜30歳くらいから進行が始まるとされています。

  • ロコモティブシンドローム(システム・運動器の衰え)
    筋肉だけでなく、関節や脊椎の病気、骨粗鬆症などによって、
    骨や関節を含めた「運動器全体」の機能が衰え、
    移動機能が低下した状態のことです。

  • フレイル(全身・心・社会の衰え)
    身体の衰え(サルコペニアやロコモ)だけでなく、
    認知症やうつなどの精神的・心理的要素、
    そして独居や経済的困窮などの社会的要素を含めた、
    より大きな「全体」の虚弱状態を指します。

筋肉が減る(サルコペニア)ことが原因で
運動器が衰え(ロコモ)、
それが全身の虚弱(フレイル)へとつながっていく
という関係性を知っておきましょう。

3. あなたは大丈夫?フレイルの主なチェック項目

以下の項目に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。

  • 体重減少: 半年で2~3kg減った
  • 握力が弱い: 男性 26kg未満、女性 16kg未満
  • 疲労感がある: わけもなく疲れた感じがする
  • 歩くのが遅い: 歩行速度が落ちた(横断歩道を青の間に渡りきれないなど)
  • 運動習慣がない: 日常的に体を動かしていない

これらに複数当てはまる場合は、フレイルの入り口に立っているかもしれません。

 

4. 要注意!連鎖する「フレイルドミノ」

フレイルの進行を考える上でとても大切なのが
「フレイルドミノ」という考え方です。

衰えは、まるでドミノ倒しのように連鎖していきます。

その最初のドミノ(入り口)と言われているのが「社会とのつながりの低下」です。

退職などをきっかけに社会との接点が減ると、
生活範囲が狭まり、家にこもりがちになります。

すると、気分が落ち込む(こころの衰え)、
人と話さなくなることで噛む力や滑舌が落ちる(お口の衰え)、
食欲が減る(栄養不足)、
そして最終的に筋力が落ちる(身体の衰え)
……というように悪循環に陥ってしまうのです。

 

💡 お口の衰え(オーラルフレイル)に要注意!

ドミノの中盤にある「お口の衰え」は、
脳の機能や全身の健康に直結する非常に重要なサインです。

「最近むせやすくなった」「硬いものが噛みにくい」と感じる方は、
ぜひ下記の別記事もあわせてご覧ください。

🔗 [認知機能を守るカギは“口”にある|50代女性のためのオーラル健康習慣]

 

5. フレイル予防の3つの柱

フレイルのドミノ倒しを防ぎ、健康な状態を保つためには、
総合的なアプローチが必要です。

予防のための柱は大きく分けて3つあります。

  1. 栄養・お口の健康:
    よく噛んで、しっかりバランスよく食べよう

    たんぱく質(お肉、お魚、大豆製品など)をしっかり摂り、バランスの良い食事を心がけましょう。
    十分に水分を摂ることも大切です。

  2. 身体活動(運動):
    今より10分多く体を動かそう

    ウォーキングや筋トレなど、
    無理のない範囲で日常的に体を動かす習慣をつけましょう。

  3. 社会参加:
    自分に合った活動を見つけよう

    就労や趣味の活動、ボランティアなど、
    人と関わり、社会とのつながりを持つことが心身の張合いになります。

高齢になると持病を抱えていたり、
免疫力が落ちていたりする方もいるでしょう。

体調を崩したことをきっかけに筋力が落ちる
(寝込んだ日数の3倍かかるといわれています)ことも少なくないため、
「持病のコントロール」と「感染症の予防」など、
日ごろの体調管理にも気をつけるようにしましょう。

6. フレイルを予防する~具体的な運動法~

ここでは、今日から始められるおすすめの運動をご紹介します。

★ ウォーキング

だれでも気軽に始められる有酸素運動です。

有酸素運動は筋肉を収縮させるエネルギーとして酸素を使う運動で、
心肺機能の強化、末梢循環改善、代謝アップの効果があります。

速歩きとゆっくり歩きを交互に繰り返す「インターバル速歩」はより効果的です。

★ レジスタンス運動

筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。

たとえば、椅子に座ったまま足を上げたり下げたりする、
椅子から立ち上がったり座ったりする、
スクワット、ダンベル運動などが当てはまります。

これらは筋力・筋肉量の維持向上に効果があります。

★ アクアエクササイズ

気軽に始めるのは難しいかもしれませんが、
水の浮力が働くため関節への負荷がかかりにくく、
障害のある方や肥満の方にも取り入れやすい運動です。

全身を使った有酸素運動と水中での抵抗運動で、
体力・筋力が向上し、全身がバランスよく鍛えられます。

水温や水圧による血流改善だけでなく、自律神経の働きを助け、
筋肉の緊張緩和、呼吸機能や睡眠にも良い効果があるといわれています。

★ チューブトレーニング

ゴムの強度によって、
体力や筋力に合わせた負荷で行えるトレーニングです。

筋力・持久力の増強に効果があります。

関節可動域や柔軟性の改善、
体幹の安定性や姿勢保持の向上にもつながるといわれています。

フレイルは、早く気づいて対策をとることで、
健康な状態に戻すことができるサインです。

張り切ってやりすぎるよりは、
「少しずつでも毎日続けること」の方がずっと大切です。

無理のない範囲で、ご自分に合った予防習慣を今日から始めてみませんか?

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