睡眠の効能
木ノ本景子 2024年7月10日 限定記事
質の良い睡眠でパフォーマンスを上げる
しっかり睡眠をとっていますか?
日々のパフォーマンスを上げようと思うと睡眠は大切です。
「睡眠負債」という言葉を聞いたことがありますか?
これは2017年アメリカのスタンフォード大学のウィリアム・C・デメント教授が提唱したもので、毎日少しずつ睡眠不足が借金のように積み重なっていくことをいいます。
睡眠の負債の場合は、積もり積もると生活習慣病やうつなどの心身の不調となって返済を迫られます。
実は、日本はOECD加盟国で最も睡眠時間が少ないことがわかっています。
日本人の睡眠不足による経済損失は年間約15兆円とも推察されています。
以下のような症状がある方、睡眠負債が睡眠負債がたまってきているかもしれません。
- 物忘れが多くなった
- 集中力が落ちてきている
- 判断力が低下してきた
- パッと行動に移せなくなってきた
- 単純ミスが増えた
- 怒りっぽくなった
- 刹那的になってきた
- 血圧が高くなってきた
- 風邪をひきやすくなった
- 太りやすくなった
これらのことは、一見すると睡眠とは関係がないように感じるかもしれませんが、睡眠が不足すると起きてきます。
この状態を放っておいて常態化すると
うつ病、高血圧、糖尿病、がん、認知症などの発症リスクが高くなるといわれています。
睡眠の質を改善し、仕事のパフォーマンスを上げていきましょう。
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睡眠は脳をきれいにする
「睡眠が大切」ということは聞いたことがあるかもしれませんが、
認知症を予防するという意味でも睡眠が重要であるということがわかっています。
これは「グリンパティックシステム」という脳の老廃物を運ぶ脳のリンパ系が関係しています。
こちらは、アルツハイマー病の原因物質であるベータアミロイドを取り除く働きがあるのですが、このグリンパティックシステムは眠っているときに最もよく働くのです。
特に、深いノンレム睡眠中に現れる0.05Hzの徐波がみられるとき、
このお掃除システムが活発に働いているということが最近になってわかりました。
参考)Nina E. Fultz et.al. Coupled electrophysiological, hemodynamic, and cerebrospinal fluid oscillations in human sleep. Science1 Nov 2019
Vol 366, Issue 6465 pp. 628-631 DOI: 10.1126/science.aax5440
Vol 366, Issue 6465 pp. 628-631 DOI: 10.1126/science.aax5440
つまり、しっかりと質の良い睡眠をとることが、
認知症の原因物質を除去するためには重要ということです。
寝酒は寝つきはよくなっても、眠りが浅くなり、
深いノンレム睡眠が得られなくなるため、
脳のお掃除機能としての働きが鈍くなるため注意が必要です。
深いノンレム睡眠が得られなくなるため、
脳のお掃除機能としての働きが鈍くなるため注意が必要です。
加えて、脳の血流が低下するとこのシステムの働きが悪くなるということもわかっています。
では、どのようにしたら脳の血流が増えるのか?ということですが、
脳の血流を増やすには「運動」が大切です。
つまり、日中身体を動かして、夜にはよく眠るという健康的な生活が
認知症を予防するということです。
当院で採用している超音波マッサージャー(Ultra Ma)は
健常成人での実験で脳の血流が増えることがわかっているため
もしかしたら脳の老廃物除去という点でも効果があるかもしれません。