認知症予防にはストレス対策が重要
認知症はストレスとの関係が深いことが知られています。
これは、ストレスホルモンによる脳の血流の悪化やストレスにより生じた高血圧などによると考えられています。
実際に中長期的にストレスがあると記憶に関係する脳の部位である海馬が萎縮し、
記憶力が低下することが知られています。
また、ストレスによって睡眠の質が低下してしまうことも問題です。
睡眠には脳に溜まった老廃物を取り除く働きがあります。アルツハイマー病の原因となるアミロイドβも老廃物の一つです。
つまり、睡眠の質が低下するとアルツハイマー病の原因物質が脳にたまり、認知症になりやすくなります。
ストレスが少なく日常を楽しんで過ごしている人の方が認知症になりにくいのは間違いありません。
実際、中年期に不安や嫉妬があるとアルツハイマー病の発症リスクが2倍になるといわれています。
一方、読書や楽器演奏などを行っている人はアルツハイマー病になりにくいことが分かっています。
つまり、趣味や余暇を楽しむことが認知症の予防につながるとも言えるでしょう。
どんなに脳にいいことでも、それを楽しめないのであれば脳にとっての効果は薄くなるかもしれません。
興味があって、楽しんでいることのほうが覚えられるというのは、誰しも経験したことがあるでしょう。
例えば、アイドルの名前は簡単に覚えられたけれど、歴史上の人物の名前はなかなか頭に入らなかったという経験はありませんか。
興味を持って楽しんで行うことが脳の神経細胞を育てることにつながります。
そのためにも、自分が何を楽しいと感じるのかを知るのは重要です。
興味を持ったら、何でもやってみてください。
実際に体験してみないと分からないことも多いものです。やってみたら予想以上に楽しかったということもあるでしょう。
特に体を動かすことは、睡眠の質を上げ、脳の神経細胞を育てるのに役立ちます。
運動は簡単にできることでかまいません。
口や指が脳に占める割合は大きいので、指を動かす運動はお勧めです。
声を出したり、誰かとおしゃべりをしたりすることでいっそう効果が期待できます。
リズム運動はセロトニンを活性化して気持ちを落ち着ける効果があります。
更年期以降の女性は女性ホルモンの減少でセロトニン活性が低下しますので、積極的に取り入れるとよいでしょう。
一番簡単なリズム運動は、よく噛むことです。脳が活性化されますし、口の中の衛生状態を良好に保ち、風邪をひきにくくなるという利点もあります。
よく噛むことで唾液がよく分泌されて、口の中の雑菌の繁殖を防ぐのです。さらに、よく噛むというのは、長寿の秘訣でもある食事を楽しむことにもつながります。
だからといって、間食をとりすぎて動脈硬化やメタボリックになると別の問題になりますので、ほどほどが大切です。
やりたいこと、楽しめることがわからない人は意外と多いものです。
まずは自分が何に興味が湧くのか知ることから始めてみましょう。
自分自身が楽しめることが一番重要ですから、何でもいいのです。
そして、何事もやってみないとわからないので、興味が湧いたことにはどんどんチャレンジしましょう。
一から探すのは大変だと感じるなら、知り合いが楽しそうにやっていることを、まずは一緒にやってみて、続けるかどうかは後で決めるという方法はいかがでしょうか。
仕事をリタイヤしたらこれをしようという話をよく聞きますが、その時の体力などを考えると、できれば若いうちから探して楽しんでいたほうがいいのではないかと思います。
強い不安に駆られたときに、気持ちを切り替えられる方法があると気持ちが楽になります。
思考を変えて不安を取り除ければいいのですが、不安なときほどそれを考えないようにするというのも難しいです。
気持ちを切り替えたいときは、多少無理してでも体を動かす、深呼吸をする、睡眠環境を整えるというアプローチが有効です。
体を動かすことでセロトニンが分泌されてリラックスや気分転換ができたり、眠りがよくなったりします。
しっかり眠ったら気持ちが切り替わったというのは、よくあることです。
気持ちを切り替えやすくなる方法は人それぞれですので、「これなら自分にもできそう」と思うものを探してみてください。
手間ひまがかかるものを日常生活に取り入れようと思うとハードルが高くなってしまいます。
それよりは簡単にできるものをいくつか持っているとよいでしょう。