“やる気が出ない”は、脳からのSOS？ 

🌧「やる気が出ない日」が続いたら…

「今日こそ片づけたいことがあるのに、体が動かない」

「何をするにも気が乗らない…」

そんな日は、自分を責めるよりも

“脳が疲れていないかな？”

と立ち止まってみてほしいのです。

🧠 やる気のカギは「側坐核（そくざかく）」と「前頭前野（ぜんとうぜんや）」

やる気には、

「脳のやる気スイッチ」とも呼ばれる側坐核という部分が関係しています。

ここはドーパミンが分泌され、

「これをやると気持ちいい！」という快感や報酬の感覚を生み出します。

でも、

その「やりたい！」という気持ちを実際の行動につなげるには、

前頭前野の力が必要。

前頭前野は、

計画・判断・集中力などを担い、

まさに「やる気をカタチにする脳」なのです。

つまり、

🔁 側坐核（やりたい）×前頭前野（行動する）＝実際のやる気行動

この連携が取れてはじめて、自然と動けるのです。

😣 ストレスや睡眠不足が引き離すこの連携

ところが——

• 疲労やストレスがたまると、前頭前野の働きが鈍ってしまう

• 側坐核が「やりたい！」と感じていても、行動に結びつかない

• さらには、「快」の刺激そのものが減ると、側坐核も沈黙…

こうして、

「何もやる気が起きない」

「自分がイヤになる」

というループにはまってしまいます。

📝 あなたの脳、疲れていませんか？

《脳の疲れチェック》

以下にいくつ当てはまりますか？

☐ 集中力が続かない
☐ 小さなことにイライラする
☐ SNSを見ても気分が晴れない
☐ 食欲や眠気にムラがある
☐ 予定を立てるのが面倒に感じる
☐ 頑張る元気が湧いてこない

3つ以上当てはまる方は、

脳が「休ませて」と訴えているかもしれません。

🌿 脳を助ける「がんばらない3ステップ」

“やる気が出ない”ときは、

がんばって動こうとするより、

「脳の連携を整えること」が大切です。

そのために効果的な3つのステップをご紹介します：

ステップ①「快」を感じることを意識して取り入れる

ねらい：側坐核（やる気のスイッチ）をやさしく活性化する

✔️ 具体的な方法

• 朝、好きな音楽を流す

• 香りのよいハンドクリームを塗る

• ひと口ずつ、よく味わって食べる

• 自然の中を散歩する

• ペットや植物に触れる

🧠 なぜ効くの？

「やる気」や「快い気持ち」には、脳の報酬系ネットワークが関わっています。
その中心にあるのが、側坐核です。

この側坐核には、

ドーパミンをつくる細胞がある腹側被蓋野（VTA）から

神経線維が伸びています。

つまり、

快い体験があると、VTAの神経細胞が興奮し、

側坐核でドーパミンが放出されるのです。

その結果、
「またやりたい」「うれしい」「がんばろう」といった

動機づけや意欲が高まるのです。

つまり、

日常の中に小さな“快”を増やすことで、報酬系が自然と活性化し、
側坐核が「やる気スイッチ」としてうまく働きはじめます。

ぜひ、自分が心地よいと感じることをひとつ

取り入れてみてください。

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🔍 参考研究

• Ikemoto, S., & Panksepp, J. (1999). The role of nucleus accumbens dopamine in motivated behavior: a unifying interpretation with special reference to reward-seeking. Brain Research Reviews.

• Schultz, W. (2000). Multiple reward signals in the brain. Nature Reviews Neuroscience.

 

ステップ②「やらなくていいこと」をあえて1つ減らす

 

ねらい：前頭前野の“決断疲れ”をリセットする 

 

✔️ 具体的な方法

• 「今日だけ、夕食はお惣菜にする」
• 「メール返信は明日にまわす」
• 「SNSチェックは夜だけにする」
• 「タスクを1つ、“あえて”削除する」

 

🧠 なぜ効くの？

前頭前野は

「選ぶ・判断する・抑制する」などの働きをしていて、

決断するたびに脳のエネルギーを消費します。

これをdecision fatigue（決断疲れ）と呼び、

近年の行動科学で注目されています。

不要な選択肢を減らすことは、

前頭前野を守り、脳のスタミナを温存する効果があります。

🔍 参考研究

• Baumeister RF et al. (1998). Ego Depletion: Is the Active Self a Limited Resource? JPSP.
• Vohs KD et al. (2008). Making choices impairs subsequent self-control. Psychol Sci.

ステップ③「スマホを見ずに“何もしない時間”を5分つくる」

 

ねらい：情報過多で疲れた脳をクールダウン 

 

✔️ 具体的な方法

• スマホを裏返して置く

• 窓の外をボーッと眺める

• 深呼吸しながら目を閉じる

• 湯船につかりながら、何も考えない時間を味わう

 

🧠 なぜ効くの？

スマホからの情報は、

常に脳に刺激を与え続け、

前頭前野を過活動状態にさせてしまいます。

いっぽう、

「何もしない時間」は、

「デフォルト・モード・ネットワーク（DMN）」を活性化する状態。

このような時間は、脳の自然な回復と創造性を高める時間として注目されています。

意図的に“刺激のない時間”を持つことで、

脳は整理され、意欲が回復しやすくなるのです。

🔍 参考研究

• Raichle ME (2015). The Brain’s Default Mode Network. Annu Rev Neurosci.

• Killingsworth MA & Gilbert DT (2010). A wandering mind is an unhappy mind. Science.

 

💬 最後に：やる気が戻るのを待つのではなく、整える

「やる気が出ない」のは、意志の弱さではなく、
側坐核と前頭前野の“チームワーク”が乱れているだけかもしれません。

まずはほんの数分、

自分の脳に休息と「小さな喜び」をプレゼントしてあげましょう。

やる気は、そこから自然と戻ってきます。

🧠 まとめ　脳をいたわる「がんばらない3ステップ」

 

① 小さな“快”を増やす → 側坐核にごほうびを
② “やらない”を選ぶ → 前頭前野の負担を減らす
③ 何もしない時間 → 脳の整理タイム