見当識障害

見当識というのは、自分がいる場所や日時などの基本的情報を把握する能力のことです。

2001年5月にWHO総会で採択された「健康の構成要素に関する分類」であるICF (International Classification of Functioning, Disability and Health, 国際生活機能分類」で、見当識は「自己、他者、時間、周囲環境との関係を知り、確かめる全般的精神機能」と説明されています。

 

見当識には

「時の見当識」

「場所の見当識」

「人の見当識」があります。

 

認知症になると、見当識が低下します。

アルツハイマー病では、「時の見当識」⇒「場所の見当識」⇒「人の見当識」

の順に障害されるとされています。

 

見当識が障害されると、「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」がわからなくなります。

見当識障害は、引っ越しや入院、子どもとの同居などといった環境が変わったときに強く出やすいとされています。

 

見当識が障害されると、今を自分が若かった時と勘違いして、周りの人や状況をその時に合わせて解釈しようとすることがあります。

バリバリ仕事をしていたり、子育てに奮闘していたりなど自分が最も輝いていた時期に戻ることが多いようです。

 

そのため、自分の家にいるにもかかわらず、「家に帰る」ということもありますが、

ここで、本人の発言を否定してもあまり意味がありません。

それよりも、今いる場所が居ても安心な場所であると本人にわかってもらうようにすることが重要です。

 

また、先ほどもいいましたが、環境が変わると症状が強く出やすいので、

住居を移す場合には本人の思い出の品を持っていく、入院したら面会に行って不安を取り除くなどの工夫が必要です。

上に戻る