認知症の症状

認知症の症状

認知症の症状には、中核症状周辺症状があります。

中核症状というのは、神経細胞障害によって生じる症状です。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解・判断力障害
  • 実行機能障害
  • 失語・失行・失認

 

周辺症状というのは、残っている神経機能が外界と反応として示す症状です。

周辺症状には、行動症状と心理症状があります。

行動症状には、

  • 失禁・弄便
  • 徘徊
  • 介護拒否
  • 暴力・暴言
  • 異食

 

周辺症状には、

  • 不安・抑うつ
  • 幻覚・錯覚
  • 帰宅願望
  • 妄想
  • 睡眠障害

中核症状

記憶障害

認知症の症状として、まず最初に思い浮かぶのが物忘れでしょう。

「新しい物事が覚えられない」ため、ついさっきあったことを忘れてしまいます。

そのため、

  • 電話を切ったばかりなのに、相手の名前を忘れる
  • 同じことを何度もいったり、尋ねたり、したりする
  • しまい忘れ、置忘れが増える
  • 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う

といった症状が出てきます。

とはいえ、年齢を重ねていくと誰しも忘れっぽくなってきます。

 

加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い

脳の老化は30代から始まるとされています。

記憶に関しては、40歳くらいをピークに急激に低下します。

おそらく、若いころと比べると覚えるのが難しくなったと感じる人は多いのではないでしょうか。

私も昔はもっと簡単に覚えられたのに。。。と思うことはよくあります。

 

では、加齢による物忘れと認知症による物忘れにはどのような違いがあるのでしょうか?

たとえば、本人が物忘れを自覚しているかどうか。

加齢による物忘れの場合は、「最近、忘れっぽくなった」など本人に自覚があります。

ところが、認知症になるとそういう自覚が乏しくなってしまいます(初期のころは物忘れの自覚がある人もいます)。

自分が忘れっぽくなったという自覚がないため、

自分が財布などを片づけたことを忘れたときに、

「どこに片づけたのか忘れてしまった」という発想ではなく、

「誰かに盗られた」という発想につながりやすくなります。

加齢による物忘れでは、体験の一部を忘れるのに対し、

認知症による物忘れでは、体験したこと自体を忘れてしまいます。

たとえば、加齢による物忘れでは、お昼ご飯を食べたことは覚えていてもお昼ご飯に何を食べたのかを思い出せないといったことがあります。

それが認知症になるとお昼ご飯を食べたことすら忘れてしまい、

「まだお昼ご飯を食べていない」と訴えたりします。

見当識障害

見当識というのは、自分がいる場所や日時などの基本的情報を把握する能力のことです。

2001年5月にWHO総会で採択された「健康の構成要素に関する分類」であるICF (International Classification of Functioning, Disability and Health, 国際生活機能分類」で、見当識は「自己、他者、時間、周囲環境との関係を知り、確かめる全般的精神機能」と説明されています。

見当識には

「時の見当識」

「場所の見当識」

「人の見当識」があります。

認知症になると、見当識が低下します。

アルツハイマー病では、「時の見当識」⇒「場所の見当識」⇒「人の見当識」

の順に障害されるとされています。

見当識が障害されると、「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」がわからなくなります。

見当識障害は、引っ越しや入院、子どもとの同居などといった環境が変わったときに強く出やすいとされています。

見当識が障害されると、今を自分が若かった時と勘違いして、周りの人や状況をその時に合わせて解釈しようとすることがあります。

バリバリ仕事をしていたり、子育てに奮闘していたりなど自分が最も輝いていた時期に戻ることが多いようです。

そのため、自分の家にいるにもかかわらず、「家に帰る」ということもありますが、

ここで、本人の発言を否定してもあまり意味がありません。

それよりも、今いる場所が居ても安心な場所であると本人にわかってもらうようにすることが重要です。

また、先ほどもいいましたが、環境が変わると症状が強く出やすいので、

住居を移す場合には本人の思い出の品を持っていく、入院したら面会に行って不安を取り除くなどの工夫が必要です。

判断力低下

認知症の症状の中で神経細胞の障害が原因となる症状の一つに判断力低下があります。

そもそも判断とは、ある出来事や事柄について考えを決めることをいいます。

判断力が低下すると

  • 白菜を買ってきたにも関わらず、白菜を使わずに腐らせる
  • トイレットペーパーがまだたくさん残っているのに、毎日買ってきてしまう
  • 季節にあった洋服が着れなくなる
  • 善悪がわからなくなる
  • 買い物をしてお金を払わずに帰ってきてしまう
  • 信号を無視したり、道路の真ん中を歩いたりする

ということが起こってきます。

なるべく見守って一人でいる時間を減らしたり、

サポートしながらできることは自分でやってもらうようにして今ある能力を維持するよう心がけましょう。

サービスを利用するなど家族の負担を減らすことも重要です。

失語症

認知症の中核症状の一つに失語症といわれるものがあります。

そもそも「失語症」とは、どのような状態のことをいうのでしょうか?

まず失語症の定義ですが、

失語症というのは、「大脳の損傷に由来し、いったん獲得した言語機能が障害されること」

をいいます。

ここでいう言語機能というのは、

「話す」「聴く(言葉を理解する)」「書く」「読む」

を指します。

ここでポイントなのが、

以前はそれができていたのにできなくなったということです。

つまり、言語機能を学習する前の子どもや

もともと学習障害があってそれらができなかった人

が言語機能の障害があったとしても、それは失語症には当たりません。

もう一つのポイントとして、

構音障害(こうおんしょうがい)と失語症は違うということです。

構音障害というのは、舌やのど、唇の動きが悪くなって

うまく話すことができない状態のことを言います。

極端な例になりますが、失語症で話すことができなくなった場合、

「みかん」を見ても「みかん」という単語が思い浮かばなくなります。

それに対して、構音障害で話すことができない場合は

「みかん」を見て、「みかん」という単語が思い浮かびますが、

唇やのど、舌などをうまく動かすことができず、

上手に「みかん」と発音できず、何を言っているのかわからない状態になります。

そのため、構音障害の人であれば手をうまく動かせる状態であれば

「みかん」と書いて伝えることはできますが、

失語症で「みかん」と言うことができない人は

「みかん」と書いて伝えるということもできません。

ただ、失語症といっても

人によって重症度は違います。

失語症のために全く話すことができない人もいれば、

簡単な単語であれば話すことができる人

助詞を間違える程度のごく軽度の人まで様々です。

肇にお伝えしたように脳の問題で失語症になるわけですが、

脳のどの部位が障害されるかによって

言葉を話すことはできないけれど言葉の理解はできる人もいれば

言葉の理解ができないけれど話すことができる人もいます。

失行

まず「失行」とは何かについてみていきましょう。

失行というのは、ある運動や行為に関して、

・指示された内容が分かっている

・その運動や動作、行為をやろうとする意欲がある

・それを行う身体能力はある(麻痺や協調運動障害、筋力低下、感覚障害などで行えないわけではない)

にもかかわらず、かつてはできていた運動や動作、行為ができなくなることをいいます。

失行症のみかたについて詳細をしりたいかたは下記を参照ください。

臨床失行症学

失行には、観念運動失行、観念失行、肢節運動失行、構成失行などがあります。

細かい分類に関しての紹介は省きますが、失行があると

・運動麻痺や感覚障害がないのに硬貨がうまくつかめない(肢節運動失行)

・歯ブラシがうまく使えない 歯ブラシであることはわかっているのに耳に入れてしまうなど(観念失行)

・洋服がうまく切れない (着衣失行)

といった症状が出てきます。

実際に動作を見た方が分かりやすいと思いますので、

英語にはなりますが、観念運動失行の動画です。

麻痺がないにもかかわらず、指示に従ってパントマイムをすることができません。

【観念運動失行】

【着衣失行】

失認

他の症状と違って、失認という言葉は聞き慣れていない人も多いと思います。

なので、まず失認の定義についてお伝えします。

脳の損傷によって、感覚には問題がなく、そのものを知らないのでもなく、そのものに気づかないのでもないのに、ある特定の感覚を通したときだけ、そのものが何なのか分からなくことがあります。

この不思議な状態を「失認」と呼びます。

 

例えば、視覚失認の場合、特に目が悪いわけではなく、ちゃんと見えているにも関わらず、

歯ブラシを見てもそれが歯ブラシだということは分かりません。

歯ブラシを触って初めて、それが歯ブラシであるということが分かります。

つまり、歯ブラシというものが何か、どういうもので何に使うのかはわかっているわけです。

 

相貌失認の場合、ちゃんと見えているにも関わらず、

相手を見ても誰だかわからない、声を聞いて初めて相手が誰かがわかります。

 

聴覚失認だと音は聞こえているのに何の音なのかがわからなくなります。

例えば、救急車のサイレンや踏切の音を聞いてもそれが何かが分からないということが起きてきます。

認知症の方が失認をきたすと

物の識別ができなくなり、日用品や家具など身の回りのものが何なのかがわからなくなります。

そういった場合には、物を固定の場所に置く習慣をつけ、

ラベルや色分けを利用して識別しやすくするなど工夫するとよいでしょう。

周辺症状

認知症の周辺症状の定義についてみていきましょう。

周辺症状: BPSD (Behavioral and psychological symptoms of dementia)

「認知症患者にしばしば生じる、知覚認識または思考内容または気分または行動の障害による症状」

と国際老年精神医学会が1999年に主催したアップデート合意会議で定義されています。

 

知覚の異常な認識:幻覚など

思考内容の障害(異常な情報のとらえ方):妄想など

気分障害:うつなど

行動の障害:徘徊など

のことを言います。

 

家族や介護職員、看護師など認知症の方をケアする側からすると

こういった周辺症状(BPSD) で困ることが多く、

介護負担が大きくなる要因となっています。

そのため、在宅で介護することが難しくなってり、

抗精神病薬など症状を抑えるためのお薬を使わざるを得ない状況になります。

身体的治療が優先される病院では、身体拘束をせざるをないことも少なくありません。

中核症状が神経細胞の障害で起こるのに対して、

周辺症状というのは、神経細胞の障害以外の要因も大きく絡んできます。

例えば、その日の体調や使うお薬、その人とのかかわり方、周辺の環境などの要因が複雑に絡んでくるわけです。

失禁

認知症が進行してくると失禁という症状が出てきます。

では、なぜそういった症状が出てくるのでしょうか?

 

【原因】

  • 神経因性膀胱:膀胱のはたらきを調整する神経が障害をきたす
  • 機能性尿失禁:尿意があり自力でトイレに行こうとしますが、間に合わず漏らしてしまう
  • 器質的問題:前立腺肥大、前立腺がん、骨盤臓器脱(子宮脱など)、骨盤底筋群の筋力低下、膀胱周囲の神経機能低下(直腸癌・子宮癌術後)
  • 薬の影響:利尿剤、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、三環系抗うつ薬、カルシウム拮抗薬

認知症になると起きやすい機能性尿失禁に焦点を当ててお伝えしていきます。

 

機能性尿失禁は、膀胱や尿道などに問題はなく、判断力や理解力、認知力に原因があります。

トイレに間に合わないだけでなく、排泄の意味が解らずトイレ以外の場所で排泄することもあります。

 

その主な要因は

・尿意を認識できない

・トイレの場所を忘れる

ことにあります。

  • 尿意を認識できない

認知症の方は、膀胱が限界でも尿意を認識することができない場合があり、気づいたときには失禁してしまいます。

尿意がない限り、本人がトイレに行く必要性を感じないため、介護者も適切に対応することが難しくなります。

 

  • トイレの場所を忘れる

認知症の方は、トイレの場所を忘れる場合があります。

その結果、トイレにたどり着くまでに失禁してしまいます。

場合によっては、判断力が低下し、前述したようにトイレ以外の場所で排泄することもあります。

尿意を認識できている場合は、介護者がトイレに誘導することで対処できます。

失禁に対する対処法

  • トイレに行きたい合図を見逃さないようにする

そわそわしたり、表情が変わったり、急に静かになったり、物陰に隠れたりなど合図の出し方は人それぞれです。

よく観察して、ご本人のトイレに行きたい合図をみつけましょう。

 

  • トイレに行きたい意思を伝えるように励ます

トイレに連れて行ってもらったり介助を受けたりすることに恥ずかしさを感じる場合があります。

そのため、トイレに行きたい意思を介護者に伝えられないこともあるでしょう。

トイレに行きたい意思を介護者に伝えやすくするために、「トイレに行きたいときは遠慮なく言ってほしい」と伝えるようにしましょう。

 

  • トイレを簡単に見つけるようにする

一目見てトイレだとわかるように大きな文字や便器のイラストなどの張り紙をするなどトイレを見つけやすい工夫をしましょう。

 

  • 脱着しやすい服装にする

運動機能や認知機能が低下しているためズボンを下すのにも時間がかかります。

すぐに脱げるようにウエスト部分がゴムのズボンにするとよいでしょう。

 

  • トイレを安全に使えるようにする

認知機能の低下によってトイレを安全に使用することが難しい場合があります。

例えば、滑りやすいマットが敷かれていることを認識できずに歩き、滑って転倒することが考えられます。
そのほか、植木やゴミ箱などを便器と間違えて使用する場合もあります。

このようなトラブルや事故を防ぐために、便器と間違えやすい植木やゴミ箱のほか、滑りやすいマットは置かないことが大切です。

また、立ち上がりやすいように便座を高めにしたり、便座の両側に掴める棒を設置したりすることも有効でしょう。

 

  • トイレに行くスケジュールを設定する

いつトイレに行っているのかをチェックすることで、適切なタイミングでトイレに行くように促すことが可能になります。

トイレに行くタイミングの少し前に声をかけることで、トイレに行き着くまでの間に失禁するのを防止できます。

また、起床の直後や2時間ごと、食後すぐ、就寝前など、定期的にトイレに行くように促すことも有効です。

 

  • 便器の使い方を一緒に確認する

排泄の仕方や排泄後の処理など一緒に何度も確認しましょう。

 

  • 就寝前の利尿作用のある水分摂取を控えるようにする

利尿作用があるカフェインが含まれたコーラやコーヒー、お茶などは眠る前にはなるべく控えるように促しましょう。

徘徊

1年間で約17,000人が徘徊による行方不明で保護!

認知症の周辺症状の1つ徘徊は、今や社会問題ともいえます。

警視庁の発表によると1年間で約1万7千の人が徘徊による行方不明者として保護されたそうです。

この数は、年々増加傾向にあります。

徘徊はなかなか止めることが難しく、

また徘徊中にケガや交通事故に遭遇したり、事件に巻き込まれるリスクもあります。

 

行方不明から5日経過すると生存率が0%というデータも

行方不明になってしまった場合、いかにして早期に発見するかが重要になります。

行方不明の時間が9時間を過ぎると発見率が大幅に減少するといわれています。

実際、行方不明になった方の99.3%の人は1週間以内に保護されるなどして所在が明らかになることがわかっています。

一方で、行方不明から5日間経過してしまうと生存率は0%となってしまうというデータもあります。

参考)https://mainichi.jp/univ/articles/20160530/org/00m/100/020000c

徘徊の原因

徘徊は記憶障害に見当識障害や不安・ストレスなどが絡み合って起こってくると考えられています。

 

たとえば、

  • トイレに行こうとしたものの、トイレの場所がわからなくなり、うろうろする​

  • メガネ置いた場所がわからなくなり、探し回る​

  • 財布を探し始めたものの、目的そのものを忘れてしまい、ひたすら歩き回る​

  • 引っ越し後の新しい家や環境になじめず、前の家に戻ろうとする​

  • 家の人に叱られたことが恐怖の記憶として残り、その場所から逃れようとする​

  • 家族が留守にしたときに独りぼっちであることに不安を覚え、うろつく​

  • デパートなど慣れない場所や人ごみにストレスを感じ、落ち着く場所に移動しようとする​

など徘徊をするにも何らかの理由があることがあります。

徘徊する人への対応

  • 怒らない

振り回される介護者がご本人についつい怒りたくなる気持ちはわかりますが、

ご本人に怒ることでよけいに徘徊が悪化してしまう可能性があります。

というのも、記憶障害があるため、など怒られたのか何がいけなかったのかなどはすぐに忘れてしまいます。

しかし、認知症の方というのは感情の記憶は比較的保たれているので、

怒られたことによって感じた恐怖や嫌な気持ちは残っている可能性があります。

そのため、「ここにいると嫌な思いをする」「ここは自分が気持ち良く過ごせる場所ではない」​と感じるようになり、安らげる場所を求めてさらに徘徊を続ける​ということになりかねないのです。

 

  • 理由を聞いてあげる

明確な答えが返ってくるとは限りませんが、会話の中にヒントとなる言葉が隠されていることも​あります。

たとえば、「自分の家へ帰る」ということを言ったのであれば、今住んでいる環境への不安やストレスが隠れている​可能性があります。

また、「家に泥棒がいる」といった現実にはない出来事を言ったのであれば、妄想の症状が出ている​ということがわかります。

たとえ、明確な理由がわからなくても、気持ちに共感して寄り添ってあげるだけでも

ご本人の不安が軽くなって、徘徊の症状が落ち着いてくる可能性もあります。

  • 他のことに気をそらす

「家に帰る」と言って外に出ようとしたとき、「帰る前にトイレに行っておきましょうか」と声をかけてトイレに誘導したり、

お茶を用意して「せっかくですからお茶を一杯どうぞ」と誘ったりというのも有効かもしれません。

徘徊への具体的な予防策と解決策

★日中に適度な運動をする​
脳に良い刺激を与え、程よい疲れで夜によく眠れるようになり、深夜の徘徊予防になる​
ラジオ体操、高齢者向けの軽いストレッチなど​
運動を兼ねた役割を持たせるのも効果的:草むしり、庭木の手入れ、日曜大工洗濯物の取り込みなど​
⇒「自分が必要とされている」という認識につながり、居場所のない不安が減る​

★そのまま歩かせてあげる​
本人がやりたいように行動することで気持ちも落ち着くことも​

★デイサービスなどを利用する​
レクリエーションを通して体を動かしたり、施設の周りを職員と一緒に散歩したりすれば、自宅では落ち着いて過ごせるようになる場合もある​

 

★GPS端末を活用する​
取り付け場所:いつも履く靴、お気に入りのカバン​
自転車のハンドルやフレーム、お守り袋、手押し車や電動カートのカゴ椅子に付ける​
上着(衣服)にしのばせる​

参考)認知症の方の安全を確保するセンサー、アラートシステム

★玄関から出ていけないように工夫する​
玄関ドアの鍵を新しいものに取り替え、鍵を隠す​
被介護者の手の届かない位置に新しく鍵を設置する​
自力で開けられないように、ドアの前に大きな荷物を置いておく​
ドアが開いたことがわかるように、ベルやセンサーを設置する​

★服や持ち物に名札をつけておく​
よく着る服や持ち物、靴の内側などに、名前と連絡先を記載する​

★近所の人や交番に連絡しておく
住んでいる地域の民生委員や自治会の役員、近所の方に見かけたら連絡をくれるように頼む​

交番には、徘徊の事実と身長や髪形などの身体的特徴を伝え、必要な情報を共有しておく​

★日中に適度な運動をする​
脳に良い刺激を与え、程よい疲れで夜によく眠れるようになり、深夜の徘徊予防になる​
ラジオ体操、高齢者向けの軽いストレッチなど​
運動を兼ねた役割を持たせるのも効果的:草むしり、庭木の手入れ、日曜大工洗濯物の取り込みなど​
⇒「自分が必要とされている」という認識につながり、居場所のない不安が減る​

★そのまま歩かせてあげる​
本人がやりたいように行動することで気持ちも落ち着くことも​

★デイサービスなどを利用する​
レクリエーションを通して体を動かしたり、施設の周りを職員と一緒に散歩したりすれば、自宅では落ち着いて過ごせるようになる場合もある​

★GPS端末を活用する​
取り付け場所:いつも履く靴、お気に入りのカバン​
自転車のハンドルやフレーム、お守り袋、手押し車や電動カートのカゴ椅子に付ける​
上着(衣服)にしのばせる​

参考)認知症の方の安全を確保するセンサー、アラートシステム

★玄関から出ていけないように工夫する​
玄関ドアの鍵を新しいものに取り替え、鍵を隠す​
被介護者の手の届かない位置に新しく鍵を設置する​
自力で開けられないように、ドアの前に大きな荷物を置いておく​
ドアが開いたことがわかるように、ベルやセンサーを設置する​

★服や持ち物に名札をつけておく​
よく着る服や持ち物、靴の内側などに、名前と連絡先を記載する​

★近所の人や交番に連絡しておく
住んでいる地域の民生委員や自治会の役員、近所の方に見かけたら連絡をくれるように頼む​
交番には、徘徊の事実と身長や髪形などの身体的特徴を伝え、必要な情報を共有しておく​

 

昼夜逆転

昼夜逆転はなぜ起こるのか

年齢とともに睡眠は変化します。

健康な高齢者の方でも睡眠が浅くなり、夜中に目が覚めたり(中途覚醒)、

朝早くから目が覚めたり(早朝覚醒)といったことが起こりやすくなります。

 

というのも、年とともに体内時計に変化が生じ、

睡眠だけでなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになります。

そうなると朝早くに目が覚めるということが起きてきます。

 

また、年とともに睡眠の質も変わってきます。

睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って

浅いノンレム睡眠が増えるようになります。

そのため尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。

認知症と睡眠障害

高齢者の中でも認知症の方の場合は、脳の機能が損なわれることに伴ってさらに睡眠が浅くなり、症状が進行すると1時間程度でも連続で眠れなくなってしまうといわれます。

 

具体的には不眠や過眠、睡眠時無呼吸症候群のほか、「概日(がいじつ)リズム睡眠障害」などさまざまな睡眠障害が見られます。

「概日リズム睡眠障害」では、体内時計と実際の時間とのずれを修正できないことによって入眠や覚醒の時刻が一般的な時刻とずれてしまい、昼寝が増えて夜に覚醒する昼夜逆転が起こります。

 

また、認知症になると日中の活動が少なくなる傾向があります。

そうすると、日中に日光を浴びる量が減ってしまい、

それが体内時計を狂わせる要因にもなったり、

日中の活動量が少ないことにより睡眠物質がたまりにくくなり、

夜間の不眠につながったりします。

また、飲んでいるお薬によっても睡眠障害をきたすことがあるので注意が必要です。

 

特に、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、
脳の睡眠と関連する部分が変性するため、睡眠障害が現れやすくなります。

 

アルツハイマー型の認知症は、食事をしたことを忘れるなどの記憶障害から始まりますが、

次第に今がいつか、自分がどこにいるかがわからなくなるなどの見当識障害が現れてきます。

そのため、さらに体内時計が乱れて、睡眠時間が少なくなる、浅い睡眠が多くなる、夜間に眠れなくなるなどの症状が出現し、昼夜逆転が起きやすいのです。

 

一方、レビー小体型認知症では、レム睡眠行動障害が多く見られます。

寝ている間に大声を出したり、手足をバタバタと動かしたりするほか、重症になると起き上がったりすることもあります。

声をかけたりすると比較的すぐに覚醒しますが、時にはせん妄との区別が必要な場合もあります。

また、レビー小体型認知症を発症する前に、その前触れとしてこのような睡眠障害が現れることもあります。

昼夜逆転の対処法

午前中に日光を浴びて体内時計を整える

昼夜逆転の対処法

認知症の中でもアルツハイマー病の方は、

体内時計が狂いやすいことが指摘されています。

参考)認知症における睡眠障害 臨床神経 2014;54:994-996

 

体内時計を整えるためには、午前中に日光を浴びることが効果的です。

できれば、午前中に散歩に行くなど、屋外での活動を取り入れるのが理想ですが、

難しい場合には、カーテンを開け、窓際で日光を浴びるようにしましょう。

 

日中の活動量を増やす

昼夜逆転の対処法

日中に起きていた時間が長いと自然と夜に眠くなります。

それは、日中活動しているときに脳の中で産生される睡眠物質(プロスタグランジンD2、アデノシンなど)がたまり、夜になると自然と眠くなるから言われています。

 

生活リズムを整える

昼夜逆転の対処法

起床時間や就寝時間だけでなく、食事をなるべく同じ時間にとるなど

生活のリズムを整えるようにしましょう。

そうすることで体内時計が整いやすくなります。

 

夜間帯は睡眠の妨げになる嗜好品は控える

昼夜逆転の対処法

夜間帯は覚醒作用のあるカフェインの入った飲み物を避けるようにしましょう。

また、アルコールは睡眠の質を落とし、日中の眠気につながります。

さらに、タバコは睡眠障害の原因になります。特にニコチンの量が多いと出やすいともいわれています。

 

不安や痛みを和らげる

昼夜逆転の対処法

年齢を重ねると体のあちこちに痛みを感じるという人が増えてきます。

認知症の人の中には、そういった体の不調を訴えることができない人もいます。

特に夜間の静かな時には痛みが感じやすくなるという人も少なくありません。

また、認知症になると不安になりやすいともいわれています。

本人の話をよく聞いてあげるようにしましょう。

 

眠る環境を整える

昼夜逆転の対処法

寝室の気温や湿度、眠るときの照明など寝室の環境を整えたり、

自分に合った寝具を選ぶことは、案外重要です。

質の良い睡眠をとることで、日中の眠気を防ぐことができます。

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