ヘテロクリニック

🧠 集中できないのは甘えじゃない。脳の“働きすぎサイン” 

  • 「やる気はあるのに、集中できない」

  • 「気づいたらスマホを見ていた」

  • 「考えがまとまらず、ただ時間が過ぎていく…」

といったことはないでしょうか。

そんなとき、
「また怠けてしまった」
「なんて自分は意志が弱いんだろう」
と、自分を責めていませんか?

でもそれ、

甘えではなく“脳の働きすぎサイン”かもしれません。

🔍 集中力が落ちるのは“脳が疲れている証拠”

集中力をコントロールしているのは、

脳の「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という部分です。


ここは、

判断・計画・注意・感情のコントロールなど、

日常のあらゆる“考える”機能を担っている司令塔のような場所

しかし、

ここはとても疲れやすい場所でもあります。

現代の私たちは──

  • 情報過多

  • マルチタスク

  • 睡眠不足

  • 感情的ストレス

こうした負荷が積み重なると、

前頭前野が“オーバーヒート状態”に。


処理能力が落ち、集中できなくなるのは、

まさに脳が「もうちょっと休ませて」と訴えているサインなのです。

🧪【研究より】
疲労時には前頭前野の血流や機能が低下し、

注意力・判断力・作業効率が落ちることが確認されています

(Mizuno et al., Brain Research, 2014)

🌿 「集中できない日」のやさしい過ごし方3選

脳が疲れているときほど、

必要なのは「がんばる」ことではなく「整える」こと。


ここでは、

集中できない日にもできるやさしい脳のセルフケア習慣をご紹介します。

① やることを“ひとつだけ”に絞る

To Doがたくさんあると、それだけで脳が混乱します。


「今日はこれだけできたらOK」と、

  最も大事な1つだけに集中してみましょう。

脳は本来“シングルタスク”向き。

あれもこれもやろうとすると、むしろ能率は下がります

② 3分の「呼吸リセットタイム」

スマホや作業から一度離れて、ゆっくりと呼吸に意識を向ける3分間

脳の雑念ネットワーク(DMN)が静まり、

 前頭前野の血流が回復しやすくなります。

🧘‍♀️やり方はシンプル:
「4秒吸って、6秒で吐く」を3分繰り返すだけでOK。

③ “あえて離れる”勇気を持つ

どうにも集中できないときは、「離れる」が最善の選択。

  • 湯飲みにお湯を注ぐ

  • 外の空気を吸いに出る

  • 軽くストレッチする

こうした“物理的な切り替え”が、

 脳のリセットスイッチになります。

⚠️ やりがちなNG習慣:かえって集中力を奪う行動

集中できないとき、

ついやってしまうけど逆効果な行動もあります。

❌ SNSやネットをだらだら見る

見リラックスしているようで、

実は「情報の洪水」に巻き込まれている状態。

SNSは

次々とスクロールされる画像・感情・意見の刺激が強く、
脳はそれを「判断しよう・処理しよう」と自動的に働いてしまいます。

この時、視覚野・前頭前野・扁桃体などが同時に稼働しています。

つまり、
「ただ見ているだけ」でも

脳は強い刺激とストレスにさらされているのです。

🧪【研究】
長時間のSNS使用は、

集中力の維持や注意制御に必要な神経ネットワーク(CEN)を弱め、
情動の不安定さや“脳疲労”を引き起こすと報告されていま(Twenge et al., 2018)

🟢対策:
「疲れてる時こそ、見ない選択を」

SNSやネットは“脳にとってのジャンク情報”と割り切り、
“何もしない時間”や“自然を見る”ことで回復を優先しましょう。

❌ 頭の中でTo Doをぐるぐる考え続ける

「何をすべきか」を常に頭の中で繰り返していると、

脳はタスクを“処理したような気分”になるだけで、前に進みません。

これは“ワーキングメモリ”(短期的な作業記憶)を消耗する状態で、
脳内の作業スペースをずっと占拠されているようなもの

📚【脳科学的背景】
ワーキングメモリには限界があり、

内容を保持しながら同時に判断・実行するのは苦手。

「記憶しているだけ」の状態が続くと、

脳は徐々に疲弊し、集中力も創造性も低下します。

🟢対策:
思い浮かんだタスクは、即メモに“書き出すことで脳のメモリを開放。
視覚化されたタスクは、

順番も優先度も整理しやすくなり、脳の負担がぐっと軽くなります。

❌ 「こんなことで疲れてるなんて…」と自分を責める

完璧主義な人ほどやってしまいがちなのが、「自分を責める癖」

実はこの自己批判は、

脳の扁桃体(感情の中枢)を刺激し、

ストレスホルモン(コルチゾール)を分泌させるという悪循環を招きます。

すると前頭前野(集中力や判断をつかさどる部位)の働きがさらに落ちてしまい、
“責めるほどに集中力がなくなる”という悪循環に入ってしまうのです。

🔍【参考研究】
自己批判的な思考は、脳の情動回路を過剰に活性化させ、
問題解決力・意欲の低下と相関する(Longe et al., 2010)

🟢対策:
「今日は集中できない日なんだな」
「それだけ脳ががんばってきたってこと」
というセルフ・コンパッション(自分への思いやり)の言葉をかけてあげてください。

🌸 脳が疲れているときほど、自分にやさしく。

集中力が落ちるのは、意志の弱さではありません。


むしろ「それだけ脳ががんばってきた証拠」

ともいえます。

🕊️がんばりすぎた脳には、「がんばらない時間」を

🌿集中できない日は、「整える日」として過ごしてみてください。

“やる気”は、整った脳から自然と湧いてきます

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