記憶力をコントロール?脳にとって「別格」なビタミンAと必須栄養素の秘密 

「最近、ちょっと物忘れが気になる」
「脳の健康に良い食事ってなんだろう?」
と考えることはありませんか?

今回は、東京大学の研究グループが発表した興味深い論文
『記憶制御に対する必須栄養素群の役割』から、
私たちの認知機能と栄養素の深い関係についてご紹介します。

 

不足すると「脳内炎症」や「感情の乱れ」の原因に?

私たちの記憶をつかさどる脳の器官「海馬」にとって、必須栄養素は不可欠です。
研究によると、
特定の栄養が不足すると脳内で以下のようなトラブルが起こることが分かっています。

  • ビタミンB1不足:
    脳内に強い炎症を引き起こし、
    海馬の神経細胞を減少させて深刻な記憶障害(回復困難なダメージ)につながる恐れがあります。
  • マグネシウム不足:
    ビタミンB1不足ほど劇的ではないものの、
    同様に脳内炎症を招き、記憶機能に悪影響を及ぼします。
  • トリプトファン不足:
    記憶力への影響はもちろんのこと、感情をコントロールする「セロトニン」の減少を招きます。
    その結果、攻撃性が増すなど感情の乱れ(情動の異常)が起こりやすくなります。

このように、栄養状態の悪化が
「脳内炎症」や「ホルモンの減少」を引き起こし、認知機能やメンタルを低下させてしまう
のです。

 

記憶力をアップさせる?「別格」のビタミンA

数ある栄養素の中でも、
論文内で「別格」と評価されているのがビタミンAです。

多くの栄養素は「不足すると脳の機能がマイナスになる」という役割ですが、
ビタミンAは記憶のプロセスを直接的に調節し、
記憶能力を正に制御(向上)させることが示唆されています。

将来的には、
加齢による記憶力低下やアルツハイマー型認知症を予防する
「記憶増強因子」としての活躍も期待されているそうです。

 

【注意】サプリメント等での過剰摂取にはご用心

「記憶に良いなら、サプリでたくさん摂ろう!」
と思うかもしれませんが、少しお待ちください。

特定の栄養素の摂りすぎにはリスクが伴います。

■ ビタミンAの過剰摂取リスク
ビタミンAは体内に蓄積しやすい「脂溶性ビタミン」です。

  • 初期・軽度:
    頭痛、発疹、皮膚の乾燥、唇のひび割れ、抜け毛など
  • 長期・重度:
    肝機能障害、骨や関節の痛み、全身の筋力低下など
    (※妊婦の方は胎児への影響にも注意が必要です)

■ マグネシウムの過剰摂取リスク
サプリメントや便秘薬(酸化マグネシウムなど)で過剰に摂りすぎると、
「高マグネシウム血症」を引き起こす恐れがあります。

  • 主な症状:
    下痢、吐き気、筋力低下、血圧低下など
    (※特に腎機能が低下している方は、排出がうまくいかず重症化しやすいので注意が必要です)

通常の食事から摂る分には問題ありませんが、サプリメントの安易な多用は避けましょう。

 

まとめ

脳の健康を守るためには、
何か一つの栄養素に極端に頼るのではなく、
日々の食事からバランスよく栄養を満たすことが一番の近道ですね。

 

参考論文:喜田 聡『記憶制御に対する必須栄養素群の役割』(2021) (論文の全文はこちら:https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930007/data/index.html

※ビタミンAの一日摂取量については、[こちらのページ(長寿科学振興財団)]などを参考にしてみてください。

 

 

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