「甘いものが止まらない」のは意志が弱いからじゃない!脳とお腹の意外な関係 

コンビニに寄ってチョコやポテトチップスをカゴいっぱいに買ってしまう……。

 

そして夜中にドカ食いしては、
「なんて意志が弱いんだろう」と落ち込む。

 

そんな経験はありませんか?

 

でも、自分を責めるのは今日で終わりにしましょう。

 

実は、ストレスが溜まったときに

甘いものや脂っこいものが無性に食べたくなるのは、

あなたの意志が弱いからではありません。

 

私たちの「脳とお腹」が仕組んだ、

ある驚きのメカニズムが原因だったのです。

 

この記事では、
食欲が暴走してしまう本当の理由と、
我慢に頼らずにそのループを抜け出すヒントを、
科学的な実験をもとに分かりやすく解説します!

 

第1章|イライラすると「甘いもの・脂っこいもの」が欲しくなるのはなぜ?

 

「体に良くない」と分かっていても、

心が疲れるとどうしても手が伸びてしまうお菓子やジャンクフード。

 

実はこれ、
私たちの体がストレスを感じたとき、
手っ取り早く心を落ち着かせようとする「防衛反応」のようなものなのです。

 

それを証明する、2つの興味深い実験をご紹介します。

 

砂糖はイライラを一瞬で静める「特効薬」

 

まずは、国内の研究チームが行ったラット(ネズミ)の実験です (1)。

 

ストレスにさらされて

興奮しているラットの脳内を調べると、

神経を興奮させる物質が急増していました。

 

ところが、同じように

ストレスにさらされたラットに砂糖を与えたところ、

その脳の興奮がピタッと抑えられていたのです。

 

つまり砂糖には、
ストレスによる脳の興奮を一瞬でフタして静める、
まるで「お薬」のような即効性があるということ。

 

私たちが疲れたときに「甘いものが欲しい!」
となるのは、脳がこのリラックス効果を覚えているからなのです。

 

胃に油が入るだけで、悲しい気持ちが半分になる!?

 

もう一つは、

ベルギーの大学で行われた、

人間の「胃」と「脳」の関係を調べた実験です (2)。

 

被験者たちに悲しい音楽や映像を見てもらい、
あらかじめしっかり落ち込んだ気分になってもらいます。

 

その後、本人が「何を入れられたか分からない状態」で、
チューブを使って胃の中に直接「脂肪分」を注入しました。

 

すると驚くことに、胃に油を入れられた人は、
ただの塩水を入れられた人と比べて、落ち込み度がなんと50%も軽くなったのです!

 

💡ここがポイント!
「口で食べて美味しいから元気が出た」のではなく、
本人が気づかないうちに

「胃に油が入った」という事実だけで、

脳のネガティブな感情が半分に和らいだ ということです。

 

脂っこいものが無性に欲しくなるのも、
あなたの心がダイレクトにラクになろうとして、体が求めていたサインだったのですね。

 

参考文献

1. 木村修一他(1999)「ストレス緩和に対する砂糖の影響」『平成11年度農畜産業振興事業団助成事業「医学的・栄養学的な見地からの砂糖に関する調査研究」報告書』

2. Fatty acid-induced gut-brain signaling attenuates neural and behavioral effects of sad emotion in humans.  J. Clini. Invest. 2011 Aug;121(8):3094-9. doi: 10.1172/JCI46380. Epub 2011 Jul 25

 

第2章|食べても止まらない…「ドカ食いループ」の恐ろしい正体

糖分や脂肪が一時的にストレスを和らげてくれるのは事実です。

 

しかし、だからといって

ストレスを感じるたびにお菓子を食べ続けていると、

体の中である「恐ろしいバグ」が起きるようになります。

 

なぜ食べても食べても食欲が止まらなくなってしまうのか、その仕組みを見ていきましょう。

 

本来なら完璧なはずの、体の「満腹センサー」

 

人間の体には、

食べすぎを防ぐための完璧なシステムが備わっています。

 

お腹が空くと、
胃から脳へ向けて「お腹が空いたよ!」

というサイン(グレリンという物質:注1)が送られ、私たちは食欲を感じます。

 

そして食事をしてお腹がいっぱいになると、
今度は腸から脳へ「もう満足、ごちそうさま!」

というサイン(コレシストキニンという物質:注2)が届きます。

 

脳のコントロールセンター(満腹中枢)が
この「ごちそうさまサイン」を受け取ることで、私たちは自然と箸を置くことができるのです。

 

注1.グレリン:胃から分泌される食欲ホルモン。食欲亢進や脂肪蓄積などの生理作用があり、肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病など、さまざまな病気に影響している。

注2. コレシストキニン:脳と腸が自律神経やホルモンを介して影響し合うという脳腸相関に関与する脳腸ホルモンの1つ。十二指腸および近位空腸のI細胞から分泌されることで、アミラーゼやリパーゼなどの膵酵素分泌を促進する作用、胆嚢収縮とOddi括約筋の弛緩によって胆汁の十二指腸への排出および胃酸分泌抑制に関与することでタンパク質や脂質の消化を助けている。また、脳内でも分泌合成されることで神経伝達物質として、満腹中枢を興奮させることによる摂食調整、記憶にも関与していることが知られている。

 

糖分と脂肪の摂りすぎで、お腹と脳が「プチ火事」に!

 

ところが、ストレスにまかせて糖分や脂肪の多いものばかり食べていると、この優れた満腹センサーが故障してしまいます。

 

原因は、お腹の中の「腸内細菌」です。

 

脂っこいものを食べすぎると、
腸内の中で「脂が大好きな悪玉菌」が急激に増えてしまいます。

 

この悪玉菌たちは、表面に「LPS:注3」というゴミ(毒素)を持っています。

 

このゴミが腸の壁に触れると、
腸の中で「サイトカイン」という炎症(プチ火事)を起こす物質が大量につくられてしまうのです。

通常なら、体がこの火事を自然に消し止めるのですが、お菓子のドカ食いが続くと歯止めがきかなくなります。

 

すると、腸で起きたプチ火事が血液などを伝わってどんどん広がり、

なんと脳のコントロールセンターにまで飛び火してしまいます。

 

火事のダメージを受けた脳は、
腸から送られてくる「もう満足、ごちそうさま!」のサインをうまく受け取れなくなってしまいます。
つまり、満腹センサーが完全に麻痺してしまうのです。

 

お腹はいっぱいのはずなのに、脳がそれに気づけない。

だから「もっと食べたい」と感じてしまい、さらに食べて火事が悪化する……。

 

これこそが、意志の強さとは関係なく抜け出せなくなる「ドカ食いループ」の正体です。

 

さらに、この体内のプチ火事(慢性炎症)が長く続くと、
肥満や糖尿病だけでなく、高血圧、循環器の病気、さらには癌(がん)やうつ病など、ありとあらゆる病気のリスクを高める原因にもなってしまいます。

注3. LPS(リポポリサッカライド):グラム陰性桿菌の菌体成分で炎症性サイトカインの放出を促進します(炎症を悪化させます)

第3章|お菓子に手が伸びるのは「心のSOS」かもしれない

脳の満腹センサーが故障してしまうと、
自分の力だけで食欲を抑えるのは本当に難しくなってしまいます。

 

では、このドカ食いループを根本から抜け出すには、どうすればいいのでしょうか?

 

鍵となるのは、
お菓子を無理に我慢することではなく、あなたの「心」に目を向けてあげることです。

 

その食欲、実は「溜め込んだ感情」の身代わりかも

 

あなたが「お菓子を無性に食べたい!」となるとき、
本当の体が求めているのは、

糖分や脂肪ではなく「引き裂かれそうなストレスの発散」かもしれません。

 

  • 仕事が忙しくて、追い立てられるようにイライラしていた
  • 馬が合わない人とうまくやろうとして、本音を言えずにモヤモヤしていた
  • 失敗してしまったことを誰かに責められて、ひどく落ち込んでいた

 

人によってストレスの原因はさまざまですが、
その奥には必ず「怒り」「悲しみ」「不安」といった感情が隠れています。

 

私たちは、行き場を失って心の中に溜め込んだ

これらのネガティブな感情を、

手軽に気分を上げてくれる「お菓子」を使って、

必死に麻痺させよう(発散しよう)としているのかもしれません。

 

もし、お菓子に頼らなくても

「心の中のモヤモヤ」を直接お掃除して、

感情を溜め込まないようになれたら、

ついついお菓子に手が伸びる回数も自然と減っていくと思いませんか?

 

私の行っている「感情カウンセリング」では、
そんな一人では抱えきれなくなったイライラや悲しみ、

不安を言葉にしながら、心をそっと軽くしていくお手伝いをしています。

 

お菓子で心を埋めるのをやめたいな、

と感じたら、ぜひお気軽にお話を聞かせてくださいね。

 

我慢するストレスは逆効果!上手に食欲をコントロールするコツ

 

そうはいっても、

これまで日常的にお菓子を食べるのが習慣になっていた場合、

すぐにゼロにするのは難しいですし、

無理に我慢すること自体が新たなストレスになってしまいますよね。

 

そこでおすすめしたいのが、「お菓子を自分で作ってみる」という方法です。

 

クッキーやケーキを自分で一度作ってみると、
そこに「どれほど大量の砂糖やバターが使われているか」がハッキリと目に見えます。

 

その量に、きっと最初は驚くはずです(笑)。

 

でも、これがとても良いブレーキになります。

 

また、自分で手作りすると、
不思議と市販のものを食べるよりもずっと高い満足感が得られやすいのです。

 

自分で作れば、砂糖の量を少し減らしてみたり、
体に優しい素材を選んだりといったアレンジも自由自在。

 

無理に食欲を「敵」にして戦うのではなく、
自分の心と体の声を聴きながら、少しずつ優しい選択を増やしていきませんか?

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